RAISING MY VOICE 015

    2010.03.29 Monday
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     祖父はとてもおもてなしが手厚い人で、いつも自分自身よりも他人をたてる人であった。家族ではよく知られているひとつの逸話を子供の時に聞いた。それは、祖父が昼食を友人たちにおもてなしをしていた。そして、食事が配膳されようとしていたその時に、彼にひどく悪い知らせが届いた。彼の12歳の息子…私の父の兄である…は重い病気を患っていたのだが、その時に亡くなったのだ。客人たちのその知らせを打ち明けるよりも、食事を先に楽しんでもらうことを、いち早く確信していたのだった。彼がその悲しみを分かち合ったのは、食事も済み楽しい会話も終わってからであった。すべてのものが一緒に泣き叫び、喪失のひどい悲しみをお互いに慰めあった。彼は私たちの社会の中で、とても愛されていた。

     政府の警察の役人たちが、私たちの家を捜索し、私の父の居所について尋問をしに来た時に、祖父はしばしば彼らの行動について、恥ずかしい思いをさせたものだ。彼は間違った主人に仕えていることを分からせるために、愛国心と自尊心について彼らの心に訴えた。「アフガニスタン人がアフガニスタン人を攻撃し殺しているということは、恥ずかしいことである。」と彼はよく言ったものだ。
    「すみません、おじいさん。でも、私たちは私たちの仕事をしているだけなんです。」と警察官たちはよく答えていた。

     当局が我が家にやってきた時のいくつかのケースでは、祖父は宗教と政治を合わせた考えを語っている詩を朗読したり即興で作ったりしたものだった。彼は執筆や朗読の創造的な才能を持っていた、そして、優秀な伝道者だったのだ。

     ある日、警官たちは祖父に自分たちの実情を訴えた。「私たちは善良な人々です。」と彼は当然のように宣言した。「私たちはしなければならないことをしているのです。」

     祖父は即座に答えた。「はい、あなたたちは正しいです。私たちは本当に悪い人々です。どうか私たちを許してください。」

     警官たちはいたたまれなくなり、その場を立ち去った。

     また別の場面では、すでに投獄されたり殺された父の大学時代の友人や仲間たちがたくさん写っている写真の陳列を警察が眺めていた。警官の一人が父の写真を指さし、荒々しく「この男は何処にいる?」と尋ねた時、祖父の返答はとても美しい愛国心溢れる一遍の詩の朗読であったのだ。

     朗読が終わった時、幾人かの警官たちの目には涙が浮かんでいた。そしてまた、できるだけ早く彼らはその場を去っていった。





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