左側に寄せるものは…

    2011.01.04 Tuesday
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    ◆「二十四の瞳」

     学校の先生を扱った映画やドラマなどは、教師の本業である授業以外の部分を描いたものがほとんどで、面白さから言えば当然のことである。

    高峰秀子が亡くなる何日か前に、彼女が主演の「二十四の瞳」を観た。そこに登場する大石先生もまた然りだ。子供たちに出席をとっている場面やら、外で歌を歌ったり走り回って遊んでいる姿が冒頭で描かれている。特に電車ごっこのシーンは、先生も子供もとても可愛らしく(DVDのジャケット写真)、今思い出しても顔がほころんでくるほどだ。

    大石先生が子供たちから慕われたのは、大石先生が特に良い先生だったからではないような気がする。あの時代のあの場所でなら、どんな先生が赴任しても、同じような物語が展開したであろうし、逆に、彼女は世間知らずで未熟な人として描かれていると思う。

    しかし、その世間知らずさは彼女の純粋さでもあり、それが反戦的な思想(思想というほど過激なものでもないが)にもつながっていて、校長や同僚たちが冷や冷やさせられたりするのだ。そしてあっけなく学校を辞めたりもする。

    このあたりで、この映画は反戦映画だったんだと気が付いた(笑)。あまりにも有名な文芸作品だったので、どこかで観たことがあるような気がしていたのだが、そんなことはなかった。その当時なら何処にもでも居そうな先生だからこそ、リアリティがあり、この作品が訴えたいことを可能にしているのだとと思う。


    ◆「フルメタルジャケット」

    この映画は、以前から友人に薦められていて、やっと観ることができたが、これは昔夜中のTVで観たことがあったのを途中で思い出した。そう言えば「ONE SHOT ONE KILL」という映画を昨年観たとき、とてもぬるいと感じたのは、この映画を観たことがあったからなんだと今更ながら思った。海兵隊員を人殺しマシーンに養成するためにはこの程度の訓練は必要だろうと思う。絶対に関わりたくない世界だが。所詮、軍隊ってそんなもんだろ。



    ◆「神聖喜劇」

    で、今読んでいる漫画がある。この本の解説によると、

    「大西巨人の小説『神聖喜劇』は、日本の戦後文学を代表する傑作のひとつです。(略)ふつうの小説の基準を土足で踏みにじるような、どこか空恐ろしいものを感じさせる傑作なのです。内容は、ひとりの兵隊のわずか三か月の軍隊生活を描くものですが…(略)」


    と書かれている。そんな小説を漫画化したものだ。全六巻中まだ三巻までしか読んでいないが、おいおい家に配達されたら読み終えてしまおうと思っている。

    しかし、軍隊というのは馬鹿馬鹿しいものだ。そういう風に描かれている。軍紀として「被服手入保存法」の中で「睾丸ハ左方に容ルルヲ可トス」とあるらしい。要するにタマタマは左側に寄せておけという規則だ。そんなことについても、この「神聖喜劇」の中で真面目に論議されているのだ。

    また、上官から質問された時に「知りません」と答えては駄目で、その場合は「忘れました」と答えなければならないそうだ。これは

    「“忘れました”は、ひとえに下級者の非、下級者の責任であって、そこには下級者に対する上級者の責任は出てこないのである。それは…上級者は下級者の責任をほしいままに追及することができる…しかし下級者は上級者の責任を微塵も問うことができないというような思想であろう」

    と書かれている。これは見事にヒロヒトが戦争責任を追及されなかった(できなかった)ことを表していると僕は思った。

    ということで、そんな映画や漫画をみているうちに僕の冬休みは終わったのだった。

     


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