観劇戯言『blue film』桃園会第42回公演

    2012.01.28 Saturday
1
引き潮の時にだけ現れる海辺の駅。霧が立ち込めたそんな駅に佇む一人の女性「かがり」。かがりはその駅に降り立ったのか、これから列車に乗ろうとしているのか、おそらく本人にもわからない。

しかし、ベンチに座っていた男性に声をかけられ、かがりは同窓会に来たのだということが分かったようだ。そこへ小学校時代の同級生や先生たちも現れるが、小学生になったり大人になったりと時間軸が定まらない。大人にならない一人の女の子がやがて、かがりと重なり合っていく。少女のかがりはスケッチブックに絵本を描いていた。その絵本の世界とも交錯していく。

葡萄味のカルピス色の空。時刻は六時前。ブラック蝙蝠軍団が子どもたちをやっつける為に時間を止めてしまったのだ。宿題のドリルをまだしていないお腹の空いた子どもは夕刻に弱いからだ。しかし、その空は本当にこれから暮れてゆく空なのだろうか、もしかしたら明けていく空なのだろうか。子どもたちも先生もパジャマ姿となって現れる。目の前の海の青もやがてそれはブルーシートに。仮設住宅のテントとなって浮かんでくるのだ。

三毛猫のような駅長がかがりに列車の到着を告げにくる。そこで初めて「ここは何処?」とかがりは問いかけながらも、自分で「ここは…」とその場所を明らかにする。

かがりはこの街にやってきたのだろうか、それともこの街から離れようとしているのだろうか。干潮時に現れる駅だから、やはりそこは「死」の世界なのだろう。そこには名前も忘れてしまった同級生とともに童話作家を夢見ていた自分が居た。青い瓶の中に閉じ込められた怪獣が居た。青い景色しか知らない怪獣は成長して瓶を割って大きくなる。

誰にも超えなければならないコトがある。それは単に忘れるだけでは克服できないのかもしれない。一度は向き合わなければならないのだろう。しかし、阪神大震災にしろ東日本大震災にしろ、あまりにも辛すぎて何も言えない。悲しいのは悲しい、辛いのは辛い、弱いのは弱いままでいいじゃないか。そんなあなたが好き、そんな自分が好き、そんな芝居をもっと観たい。

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