明日はきっとえぇこつ待っちょる

    2012.05.10 Thursday
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私など今まで生きてきて、慟哭しなければならないほど悲しみそして苦しんだことなどあっただろうか。思い返せば、どうってことないことばかりで、身に降りかかる理不尽なことで打ちのめされたことがない。いや、敢えてそのようなことには近づかず回避してきたのかもしれない。だから弱々しい人間のままなのだ。

鄭義信(チョンウィンシン)さんの「パーマ屋スミレ」を映像でやっと観ることができた。前作「焼肉ドラゴン」は舞台で観たが、その時の感動は今も忘れることが出来ない。大いに笑わされ、大いに泣かされてしまった。体の中心部から溢れてくるものを抑えることが出来ずに、震えながら涙が出てくるのだ。観客に媚びているわけでもないのに、何故あんなにも舞台と客席が一体となれるのか不思議でならなかった。

そして今回の「パーマ屋スミレ」。映像なのでスタートアップはゆっくりめではあるが、どんどん惹き込まれていく。気づいた時には顔面をくしゃくしゃにして泣いていた。登場人物の在日の人たちに、あまりにも理不尽なことばかりが幾重にも覆いかぶさっていく。そんな中でも人を愛し、懸命に生き抜こうとしていくその逞しさに心を打たれていくのだ。



世の中は理不尽なことが多すぎる。その理不尽なことは、大抵の場合、なんらかの得をしている人たちからの社会のしわ寄せであり、弱者への差別に繋がっている。私自身に理不尽なことが起きていないと感じているのは、それは私が差別する側に立って生きてきたからだろうか。

この芝居は60年代の福岡県大牟田市の炭鉱町の在日が住む「アリラン峠」にある理髪店が舞台となっている。「パーマ屋スミレ」はその店の名前ではない。理髪店をしている主人公の須美がいつか持ちたいパーマ屋さんの名前である。ポマードではなく香水の匂いがする店をしたいと夢見ていたのだ。

なんとその須美さんが今も生きている。アリラン峠に住み続け、今も近所の老人相手に鋏を持っていると狂言回しが言う。自分で作ったマッコリを近所の老人と飲みながら昔を語っているのだろうか。いや、相変わらずの日本を嘆いているのだろうか。



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